茶を喫することで得られる十の徳。武野紹鴎や千利休などさまざまな茶人による茶十徳が残されているが、鎌倉時代、京都栂尾に高山寺を再興した明恵上人が唱えたことに始まる。明恵上人は、茶祖と称される栄西より譲り受けた茶の種を栂尾に蒔いて育て、宇治や大和、伊賀、伊勢、駿河、武蔵など各地にも茶の栽培を広めた。やがて、栂尾の茶は質の高さから「本茶」と呼ばれて珍重され、他の産地の茶は「非茶」と区別されるように。日本最古の茶園が現存する高山寺では、毎年五月に茶摘みが行われ、十一月には明恵上人に新茶を献上する献茶式が執り行われている。
茶十徳
黄
第三号
Yellow Collection No.3
Cha Jittoku